カモメ軍団のチームリーダー鈴木大地

3月29日のZOZOマリン。いつもと変わらぬ背番号7の姿があった。カモメ軍団のチームリーダー、鈴木大地だ。

 2019年シーズン開幕戦のプレーボールを数時間後に控え、まだグラウンドに選手たちが姿を現す前から黙々とロングティーを打ち込む。打撃不振に陥った昨季から、とにかく振り込むことに再び取り組み始めた。その一環。もはやZOZOマリンでのルーティンと言ってもいい。新シーズンに入っても、それは変わらなかった。

 サードのレギュラー争いにスタート時点では敗れた。ロッテの開幕スタメンに「六番・サード」で名を連ねたのは日本ハムから移籍してきた大砲レアード。楽天を下してチームは開幕戦勝利を手にしたが、最後まで鈴木の出番は訪れず。2015年から続いていた連続試合出場は「532」で止まった。

 2018年オフ、「下を向いたら本当に終わっていたと思う」という厳しいシーズンを終えてもなお、苦しんでいた。2019年を思うと、下を向いてしまいそうになる自分がいた。「恩師を1人挙げろと言われれば、この人」と鈴木が口にする東洋大時代の監督、高橋昭雄氏は言う。

「新シーズンに向けて少し悩んでいるようでした。これから若い選手がどんどん出てきて、苦しい立場になっていきます。それでも2019年でまだ30歳。これまでどおり、これまで以上に頑張ってやっていけば、焦る必要はないと伝えました」

 その時点でのサードのライバルは2年目を迎える未来の四番候補、安田尚憲だった。昨季終盤に確かな出場機会を与えられながら、新人王の資格が残る60打席ジャストでシーズンを終えていた。首脳陣が安田に懸ける2019年への期待は、鈴木でなくてもひしひしと感じられるものだった。

 今季の開幕、安田は二軍スタートを余儀なくされた。NPB4年間で131本塁打を放っているレアードの電撃加入。突如、現れたカベは分厚く、高い。幕張に降り立った“スシボーイ”は開幕戦から4戦連発のド派手なデビューを飾り、鈴木の立場はさらに厳しいものになった。

 今季の鈴木の初出場は開幕第2戦の7回。田村龍弘の代打として打席に立つと、鮮やかにレフト前へ弾き返した。だが、チームは敗れた。

 試合後。軽食をとった野手陣の一部は室内練習場へと足を運んだ。明日へ向けた打ち込みに励み、また球場内のロッカールームへと戻ってくる。そんな選手たちの1人に鳥越裕介ヘッドコーチが声を掛けた。「まだ(室内練習場に)誰かいるのか?」。

「大地さんだけです」

 前日の開幕戦のあとも、翌日の第3戦のあとも、試合後に室内練習場で鈴木がバットを振り込んでいただろうことは想像に難くない。開幕戦の勝利後、ファンとのコール&レスポンス「We Are」の中心にいたのも鈴木だった。スタンド上階の記者席からベンチの様子をうかがうことはできなかったが、自らの出場機会がない中、誰よりも声を出していたのはきっと鈴木だったのだろう。

 元号が令和に変わった直後に「令和元年! 優勝するのは千葉ロッテマリーンズだ!」とぶち上げたチームの中心軸が今でも鈴木であることに変わりはない。自らの姿勢と行動でマリーンズをけん引していることは誰もが認める。

 それでも、グラウンドでの結果を積み重ねなければプレーすることすら許されないのは事実。プレーの機会を得るために、笑顔でチームを鼓舞しながら歯を食いしばって鈴木がバットを振り込んでいるのも、また事実。ZOZOマリンで躍動し、プレーでチームの先頭に立つ鈴木の姿が見たい。

なぜレギュラーを失った鈴木大地がカモメ軍団のリーダーなのか?

レギュラーを失ったわけではなく何故か使われないだけ・・・

スタメン出場してなくても最後まで練習を続けていた大地。
春季キャンプでも誰よりも早くグラウンドに現れ、だれよりも遅くまで居残り練習を続けていた。
自分がやれることを全力で!
それはシーズンだろうがどんな状況に置かれようが変わらない。有言実行が鈴木大地なのである。

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