大地が感じた周りの人の支え

 涙腺が緩んだ。3月29日、ZOZOマリンスタジアムで行われたイーグルスとのシーズン開幕戦。鈴木大地内野手の名前がコールされることはなかった。連続試合出場は532試合で止まった。
 色々な想(おも)いが交差したが気持ちを整理し、試合後は仲間たちと勝利を喜び、笑顔で振る舞った。その後は歓声の残るグラウンドを背にして室内練習場で黙々と打ち込んだ。チャンスが来た時のために練習をするしかないという思い。そして心を落ち着かせるためでもあった。
 シャワーを浴び、帰路についた時だ。愛車に乗り込むとフロントガラスに何かが置かれていることに気が付いた。急いで外に飛び出し手に取った。手紙だった。1通は後輩選手から。もう1通には名前は記入されていなかった。思いもよらぬことに驚いた。そしてすぐに封を開けて読んだ。それは選手たちからの励ましのメッセージだった。仲間たちの気遣いに我慢をしていた感情がこみ上げてきた。目頭が熱くなった。
 「感謝しかない。開幕戦に勝って、みんなは勝利の余韻に浸っているはずなのにボクのことを気遣ってくれていた。ボクのことを想って励ましのメッセージを書いてくれた。後輩や仲間がわざわざ手紙を書いて励ましてくれた。こんなこと、初めて」
 鈴木は後輩たちの気持ちを胸にしまった。もう1通の名前のない手紙が誰からのものなのかは今も分からない。でも、それでいいと思っている。自分の事を気にしてくれている人がいた。その事実が鈴木を後押しした。

 開幕2戦目に鈴木は代打で今シーズン初出場を果たした。名前がコールされるとスタンドが沸いた。地鳴りのような歓声に包まれた。声援に応えるように左前にヒットを放った。その歓声は今まで聞いたことがないほど鈴木の胸に響くものだった。
 「打席に立って、あんなに歓声が耳に飛び込んできたのは初めて。すごく声が聞こえた。やるしかないと思った。あの歓声は忘れられない。いろいろな打席でヒットを打ってきたけど、この1本は本当にうれしかった。その後、サヨナラ打も打ったけど、最初の打席の方が自分の中で印象に残っている」
 4日のライオンズ戦(メットライフ)からは不振の井上晴哉内野手に代わって一塁を守り、チームの勝利に貢献し続けている。勝負強い打撃に、そのキャプテンシーは今年も健在だ。ただ、これまでの鈴木と明らかに違うのはプレーをする喜び、応援してもらっている感謝の気持ちを今まで以上に胸に刻んでいることだ。
 「今はどんな状況でも、どんな苦しい時でも、『だから、なんだ!』という感じ。今年、すごく周りが見えるようになった。少し立ち止まって、周りを見渡すことができたことでこんなに多くの人がボクのことを気にしてくれていること、ボクのヒットで喜んでくれることを知ることができた。その人たちのために自分は頑張らないといけないと思った。開幕戦で気持ちを切り替えることができたのは周りの人のおかげ。今年は自分を支えてくれる人のためにプレーをしている」

 鈴木の2019年は険しい道から始まった。しかし不可能なことなどないと信じることを忘れなかった。輝くためにあらゆるチャンスを生かそうと機を待った。その中でスタンドから声が聞こえ、仲間たちの想いも感じることができた。人生というものは不安定で混乱をもたらす出来事にあふれている。しかし、それと同時に自分を信じ、一心不乱に生きていれば自分では想像もできなかった素晴らしい場所にたどり着くことがある。今の背番号「7」はいつもどんな時も輝き、生き生きとしている。逆境を乗り越えた男にしか分からない幸せをかみしめながらプレーをしているように見える。

【千葉魂】鈴木、逆境の先に見えたもの 胸に響いた開幕2戦目の歓声

涙腺崩壊の記事です。
開幕戦の悔しさ。やはり鈴木大地は我慢していました。
WE AREで感じた本来の笑顔の無さは無理してるのかな?と思うような感じでしたが、それを救ったのは大地が支えてきた後輩たちでした。
そして、第2戦目の大歓声

この大歓声は大地のこともみんな見てきた証拠の歓声。
それを感じた大地はより頑張ることができている。これが相乗効果である。
ブーイングをしても選手は沈んでしまうかもしれない。声こそが選手を載せるのだ。

鈴木大地は支えてくれる周りの人のために今日も全力プレーを続ける。
そんな鈴木大地はチームを、選手を支える。
そして大地をファンが支えるのである。

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